BIG LIFE

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バーテンダー日記 Vol.5 お客様と口論をするマスターからは何も学べない

食われる前に食ってやれ。

びびることは悪いことではない。

僕は小心者だし、何かはじめるときも

すごく慎重だ。

しかし、やると決めればやります。

 

人生誰でも物語がありますよね。

出会い、別れ、学び、悩み。

 

バーテンダーをしていると色々なお

客様と出会います。

そして、この人にはよく見えてこの人にはよく見えない。

好かれたり嫌われたりなんてこともでてきます。

これが正解がないのがこの業界の接客スタイルだと思う。

 

接客中に思うことは今でもお客様は自分が世界で一番正しいと思う節があるということ。

私が言うことは一番、俺が一番正しい。

会話の節々でこの空気を特に感じます。

それはそれでいいんです。

誰だって世界で一番です。

もちろん私もね。

 

バーテンダーをやるならここで怯んではいけない。

要は相手の圧に負けないということ。

俺は俺、私は私。

ここでいう怯む(ひるむ)とは何も言い返せとか反論していけという意味ではありません。

 

はったりでもいいから動じてはいけないということだ。

あっ、こいつ言えるやつだとかは空気でわかるものです。

だから堂々とあなたは大事なお客様ですが何をしても許されるわけではないですよ?という心の態度が必要です。

 

酒の席です。

はじめは優しい当たり障りのいいお客も酔いが回ると本音で喋ってこられます。

よく客同士が言い合いになったり喧嘩になるのは

まあ当たり前といえば当たり前かもしれませんね。

 

上品に節度をもってお酒を楽しみ短時間で引き上げるのが粋な酒の飲み方です。

 

いつもニコニコしていても顔が引きつってしまうし、

なんでもハイハイ言っておけばいいわけでもない。

 

酒の入った客からは失礼なことを言われるし

人間としてそれはどうかと言われることもある。

 

じゃあどんなメンタルで接客していたかというか

「お客さんに楽しんでもらうことは必要だが、別にこの人から嫌われてもいい。」

「このお店はいつ辞めたって構わないから堂々と自分らしく接客しよう」

心の中では開き直って接客する。

わたしはこれが一番だと思う。

お客さんの一言一言にいちいち気にしていてはバーテンダーなんて務まらない。


もちろんその中でもまだまだ学ぶことも勉強することも必要です。

だけど、わたしはお客様を神様だなんて思っていないし

どっちが偉いかだなんて考えたこともないんです。

 

そもそもこの目の前の酔ったお客様を神様だと思えるわけがありません。笑

 

揉めたら揉めたでその時だ。

もちろんマスターにも媚びないし言いたいことは言う。

わたしはこう思う、こう考えている。

偉そうにしたり威張ったりするのではない。

あなたにも生きてきた経験があるがわたしにもある。

あなたの言い分もわかるがわたしにも言い分はある。

 

なんでも吸収させてくださいとも思っていない。

知らないことは知らないし、知ったかぶりもしない。

関西弁でいうええ格好しいもしない。

 

接客は難しい面もあるがある意味では簡単です。

勝ち負けではないが、店のマスターですら自分のライバルだと思ってお客様と接客していました。

 

先日こんなことがあった。

深夜12時になってもお客様が来ない。

もしかして初坊主(お客さんがゼロのこと)かと

思っていたら一人の男性が入って来られた。

マスターの前の店のお客様で

久しぶりの来店だったそうだ。

 

小さな建設会社の代表さんでわたしはいつも通り

お名前を聞き、最近お仕事大変ですか?と

いつも通り、「聞く接客」をしていた。

 

休みの日のこと、息子さんのこと、趣味のこと。

なんでも話をしてもらう。

 

バーテンダーはお酒の技術はもちろんだが

やはり話を気持ちよく聞いてあげること。

人は誰だって自分の話を聞いてもらいたいものだ。

 

自分が正しいことでもお客様が間違っていても言い方一つ。

 

「確かにそういう意見もありますよね」とか

譲れない意見の時でも

「自分とは違う意見ですがそういう見方もありますね」とか。

共感できなくてもあなたの言い分もわかるよ。

この言い方だけでお客様とはいい関係が築けます。

 

偉そうにトークを教えるとかお酒のテクニックを教えるとか

書いてあるバーの求人広告をよくみるが

そもそもトイレの掃除をしなかったり

身なりを整えていてもボロボロの靴を履いていたり

見られている意識の低いマスターが多すぎます。

 

話を戻して。

 

その深夜に来店されたお客様がわたしに

君は今後このお店はどうすればいいと思う?

と聞かれたので

自分のお店ではないので僭越ですがわたしはこうこうこう思うと自分の意見を言いました。

 

すると隣で聞いていたマスターは

「俺は長年この店をやってきた。

 まだお前がこの店に意見を言うのは生意気だ」とわたしに言った。

 

それをカウンターで聞いていたその社長さんはそれを言ったマスターに激怒された。

 

「お前一体スタッフをなんやとおもとんのや」と。

俺はこれだけの月日をかけてやってきた。

だからこれからもそのやり方が正しいなんて怠慢もええとこや。

そこから小一時間ほどお客様はマスターに対するお説教が始まった。

しかしマスターにもプライドがあるのか

いや、とか、でも、とか反論する。

きっと耳の痛いところを突かれているのだろう。

横で会話を聞いていたわたしはその空気感が読めた。

 

俺のやり方でやるならそれでもいい。

でも結果、この一番盛り上がらないといけない時間に

俺一人なのが今の現実だ。

若いスタッフの意見も柔軟に取り入れていくのが

上に立つ者の役目でもある。と。

 

バーという閉鎖的な空間で仕事をしていると

どうしても鈍るのか、やはり現場で流れを感じるその社長さんとは

考え方の感性がどうしても差が出てしまっている。

わたしの中では95対5くらいの割合でそのお客様の言い分が正しいと思えた。

 

結局そのお客さんはマスターに気分が悪いから少し席を外してもらえないかと

言われた。

わたしは話を変えて話の途中になっていたお客様の趣味の話を続けた。

 

少しして代金を払ってお客様は帰られたが少しして

マスターは戻ってきた。

 

無言の時間が少し続いた。

気まずいなんて思わなかった。

このお客様への接客ではわたしのやり方が合っていたのだ。

 

接客の話になって、マスターはわたしに

もっと君はこうした方がいい、こうすれば伸びるなどと

アドバイスをくれたがすでにわたしの耳にはもう入って来ない。

なにせ酒が不味くなるから席を外してくれと言われたマスターのアドバイスを素直に聞けなかった。

 

一通り話を聞いてわたしは言った。

僭越な物言いかもしれませんが

バーテンダーは話を聞くのが仕事だと思っています。

もちろん自尊心を持つことは大事です。

長年やって来られたからわたしに言われるまでもない。

今夜の件はわたしはあそこで「確かにそうですよね、わかります」

その一言が言えなかったマスターがお客様を不愉快にさせたと思っています。

 

同じ仕事を長年やって来られたのはそれはすごいことです。

だからといってこれからもそのやり方で通せるかはわからない。

もちろん変える変えないはマスター次第です。

しかしあの社長さんの仰ったことはわたしも同意見です。

と、伝えて勤務を終えた。

 

自分はこれだけできる、自分はすごい。

そう言われるお客さんにマスターはいつも

「能ある鷹は爪を隠す」と言われるが

それはマスター自身も知らないうちにそうなっていたのではないか。

 

 そう思うとメンターと呼ばれる師匠って

なかなか出会えるもんではないですね。


お店選びもマスター選びも大切です。

商売をするなら石の上にも三年とはよく聞きますが我慢して続けるくらいなら三年間学べる場所に移動する行動力も大切ではないかと思う今日この頃です。